図鑑

図鑑

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必要なのは愛だけさ 愛だけさ 笑うなよ 殺すぞ


そんな狂気。


岸田君が苦しみぬいて作り上げた、
岸田君が自分の力だけを信じて作り上げた、
いびつでいて格好良い、最高傑作。

ばらの花

ばらの花

ばらの花

通り雨で彼女に会えない。
でも…それでいいのかもしれないな。


いつのまにかジンジャーエールの気は抜けた。
いつまでも電子ピアノの音は鳴り続ける。

ワールズ・エンド・スーパーノヴァ

終わらない夜。
リズムは鳴り続け、人は踊り続ける。


「どこまでもゆける」ってこんなに無気力に歌うバンドがほかにあっただろうか。

HOW TO GO

HOW TO GO

HOW TO GO

「HOW TO GO」には、3つのヴァージョンがあって、それぞれドラムが違います。このシングルの 1曲目ではキーボードのドラムパートをくるりのメンバーが叩き、4曲目ではクリフ・アーモンドが叩き、そしてアルバムではクリストファーが叩いています。そして、僕はこのシングルの1曲目が一番好きです。ゆったりしたグルーブが、一番感じられるし、音自体が気持ちいい。人が叩いた音の方がいいとは限らない…ちょっと不思議な曲だなって思います。


ちなみにカップリングの「すけべな女の子」は透き通った疾走感が気持ちいい佳曲です。ライブではよく披露されていたそう。

NIKKI

NIKKI(通常盤)

NIKKI(通常盤)

誰も言ってない気がするんだけど…ジャケットエロい。


すっかりメジャーになったくるり。「今度は歌モノ」と岸田氏がどこかでいっていた通り、そしてシングルで感じたとおり、メロディアスで素朴で素直で、でもちょっとだけひねくれてて、そしてどこか懐かしい曲が並んでいます。(まあ、僕はThe Whoとかは分かんないんだけどさ。)


こうして聞いてみると、くるりのメロディっていいんですよね。平坦なようで、ぐっと心をつかむ。「BABY I LOVE YOU」には降参したし、「BIRTHDAY」の岸田君の声と女の声が重なるところとか、物凄くときめく。「BIRTHDAY」は僕がこのアルバムで一番好きな曲です。優しさを感じるところから、ふっと切なさにメロディが、コードが移行するその瞬間。大好き。


それでいて、音。いままでのひねくれたくるりが追求していた、音、それ自体。それが今作では、丁寧に生かされてます。コーラスの耳障りの良さとか、ドラムやアコギの質感とか、実は凄いよ。ヘッドフォンで聞いてみて。この音自体へのこだわりは、こういうような、ある意味普通のポップスでも生かされるんですね。


ただ、やっぱり、僕がくるりに求めてるのは、こういう普通に良い曲ではないなって、正直思ってしまいます。やっぱり、普遍的にそれだけで聞かせられるメロディを持っていても、優しい歌声をもっていても、くるりにはそれだけじゃなにか足りない気がする。欲を言っているのは分かるけど、多少の「プラスα」が欲しい。


それは「ばらの花」の電子ピアノのような。「ワールズエンド・スーパーノヴァ」のダンスビートのような。「青い空の」奇妙奇天烈な曲展開のような、そんな「プラスα」。


このアルバムはひっかかりもなく、すうっと聞けて、それは僕にとって初めての経験でした。つねにどこか実験的なくるりのアルバムは、だいたい僕は最後まで聞けず、好きな曲ばかりをリピートしていたから。このアルバムが、くるりの調子の良さをあらわしてるのもわかるし、くるりの歴史に意味のあるものだということも分かります。でも、昔からのファンとして、何かもの足りなさを感じてしまうのが、正直なところです。


きっと今まで培ってきた、実験精神と、このアルバムのポップさがうまく混ざり合ったときに、「ばらの花」も「ワールズエンド・スーパーノヴァ」も越えてるくらいの曲が生み出されるんだろうなって予感はしてます。そうしたら、始めから終わりまで聞けて、かつときめきに溢れる素晴らしいアルバムだって届くかもしれない。それが、今から待ち遠しくて、待ち遠しくて、僕はまたくるりを聞くのです。