WITH TEETH

With Teeth (Dig)

With Teeth (Dig)

この新作では、音数が減ったことで、一音一音がはっきりしました。ゆえに、トレントの弱さと孤独を感じさせる魅力的な声と、ちょっと癖のあって、切ないメロディが、ディストーションの波に埋もれず、前に出てきてます。これはこれで、いい感じです。退廃的なピアノも、より印象的に聞こえてくる。確かに、「FRAGILE」好きの僕としては、病的で閉じた部分が減ったのは残念ではあるんですが。


曲単位で見ていくと、まず「All The Love In The World」 の「どうしてお前は世界中の愛を手に入れれるんだろう」の裏声リフレインにはぐっと来ます。シングル曲の「The Hand That Feeds」も意表をついた軽さとダンスビートがいいです(ボーナストラックのラフ・ミックスは微妙ですが)。そして最後の曲にまたやられました。まったくどうして俺はこんなにNIN流バラードに弱いのか…「RIGHT WHERE IT BELONGS」。うごめいている電子ベースと淡々としたピアノが胸にじわじわせまってくる名曲です。


歌詞も、音も、外を向いてます。このポジティブな姿勢が次回作にどう影響するのか、今から楽しみです。ただ、これ以上Popになって欲しくはないかな…是非次は、みんなの期待を裏切るような変態的で病的な音を作り上げてほしいと、残酷にも思ってしまいます。