Pepperoni Quattro

Pepperoni Quattro

Pepperoni Quattro

ELLEGARDENの3rdアルバム。個人的には彼らの最高傑作です。


まず歌詞。この後の4thではもう少し抽象的で暗示的になるんですが、ここではもっと直接的で、でも単純でない印象的な言葉が並びます。視点は若いですけど、考えなしではなく、そしてロマンチック。個人的には思いっきり琴線に触れてくる言葉です。


そして意外と(失礼かな)アレンジも巧み。いや、物凄く珍しいことやってるわけでもないし、むしろ「バタフライ」なんかはもろリンキン(リンプともいえるか…そこらへん)なんだけど。でも、このバンド最大の武器である、夢見がちで甘くて切なくて…とにかく素晴らしい「メロディ」を、アルバム全体で飽きさせずに届ける助けをする、そんなアレンジになってます。


もう名曲ばっかりで、何が好きとかはとくにないんですけど、「スターフィッシュ」の甘さや、「Make A Wish」での必死に何かに手を伸ばすようなメロディと、突然疾走する爽快感、「Pizza Man」のご機嫌なコーラス、「ロストワールド」の歌詞なんかが特に大好きです。

いらないもの 重たいもの
ここに置いていこう
誰もがみな 過ぎ去るなか
君だけが足を止めた
そういうことさ

僕も足を止めるよ。君らの素敵な音楽を、もっと聞いていたいから。

BRING YOUR BOARD!!

BRING YOUR BOARD!!

BRING YOUR BOARD!!

よりメロコアに近づいた音とともに、彼の疾走は始まる。
メロディにもこの開放感。


「いつだって君の声が この暗闇を切り裂いてくれてる」
細美君の声が、そうやって暗闇を切り裂くんだ。

DON’T TRUST ANYONE BUT US

DON’T TRUST ANYONE BUT US

DON’T TRUST ANYONE BUT US

「I'm Santa Claus 君に千個のプレゼント」
持ちきれないよ。そんなにたくさんの素敵なメロディ。


アレンジもメロディも、UK ROCKの匂いがする。
まだ切なさに泣いているけど。もうすぐ、エルレは走りはじめるよ。

君と僕の世界を、切ない疾走感と甘いメロディにのせて。

その若者っぽい佇まいからは想像も付かないくらい、真摯な音楽を奏でるバンド。
言葉は、時に甘くやさしく、時に寂しそうで、かつ本質をえぐる。


綺麗な発音で歌われる全英語詞の曲も、その日本にほのかなUKが香る美しいメロディのせいか、
「外国のバンドにはできない英語曲」になってる。


聞かず嫌いの人、いるでしょ?僕もそうだった。
でも、ちょっと「Space Sonic」を聞いてみてよ。ほら、ね?

Waiting for the Siren's Call

Waiting for the Sirens Call

Waiting for the Sirens Call

しっかり今の時代にあった格好よさを届けた「Get Ready」…今度は、今の感性も取り入れつつ、80年代っぽいちょっとレトロな感覚(いわゆる古きよきNew Order)も感じさせるという、なんかこんなに器用なバンドだったっけ?と思わせてしまう貫禄を見せました。まあもちろん僕はリアルタイム世代ではないんですけど、ベストで聞いた古い曲を感じるということで。実際ネットで感想を見ていくと、リアルタイムな人の評判もいい感じでしたし。モードも「肩に力入れて頑張る」緊張感あふれるものから「余裕しゃくしゃく」なゆるゆるなものへ。「Krafty」とかほんと楽しそうですしね。「I Told You So」でレゲエっぽさとかいまさら(笑)挑戦しちゃってますしね。なんかどっちがいいとかじゃないですが、このアルバムも傑作です。


凄いの来るぞ…みたいなイントロのわりに、いつも通りのNew Orderな「Who's Joe?」、
メロディが綺麗で、どこかカラフルな「Waiting for the Sirens Call」、
哀愁をこれでもかと感じる(切なさじゃなくあくまで「哀愁」ね)「Dracula's Castle」、
サビで80年代にタイムスリップしちゃう「Guilt Is A Useless Emotion」あたりがお気に入り。


問題の日本語版「Krafty」は、何が悪いって、発音を大切にするあまり、まんま空耳アワーになっちゃった、あまりに意味不明な後藤君の歌詞ですね。アジカンは嫌いじゃないんですが…「先に暗号で 君を成さない」って何?SUPERCARの淳治君とかにまかせて欲しかったなあ。流れるようなメロディが思う存分楽しめるいい曲なのに。まあおかげで、ライブでは楽しかったけれどもさ。


ジャケットも素敵です。New Orderだし、彼らは「Yes」か「No」かでいったら明らかに「No」だよね。なんとなくそんなことを思います。

Get Ready

Get Ready

Get Ready

こんなに愛しいバンドになると思わなかったNew Orderとの出会いの作品。この作品、単純にとっても格好いいです。キーボードとシンセストリングスからの美しい始まり。ガシガシと刻まれるビート。冷たい感触のギターに、金属くささを感じる独特な音色のベースソロ。そんな「Crystal」からもう心奪われまくり。ビリーコーガンがゲスト参加した曲もうっとりするほどメロディが綺麗だし。まあ、途中プライマルが参加した「Rock the Shack」はなんか元気よすぎてしっくり来ないけど、そんなことはともかく捨て曲はほぼなしです。「うわー、こんな格好よくて、マイナーメロディ主体な、冷たい感触な、バンドを今まで知らなかったのか」とか思ったものです。


…Bestを聞いた今となっては、このアルバム結構生音中心だし、過剰なやる気が随所に感じられる(笑)し、New Orderらしいかっていうとちょっと違う感じもします。「Waiting for the Sirens' Call」のほうが、どっちかっていうとNew Orderらしいのかな。だから、リアルタイムのファンの方の中から、微妙って意見も聞きます。


でもむしろ僕みたいに歴史をさかのぼって聞いていくようなファンからすれば、こんな格好いいアルバムのどこが悪いんだ、むしろ今の感覚にもついていけるNew Orderって凄いよ、とか思うんですけどね。まあ、でもこれはいいアルバムだけど、これでNew Orderを知った気になるのはまずいかな…というのが結論かな。これと「Waiting for the Sirens' Call」しか聞いてない人は、ぜひBestも聞いてください。リアルタイムのファンの人が言う「下手だけどなんか愛しくてなんか格好いい」みたいなところが見えてきます。


…それで、New Orderをより好きになるか、ちょっと離れるかはその人次第かな。